由真ちゃんと珊瑚ちゃんと

 

 

今日のお勤めも終わり、俺は下駄箱にやって来た。

「お、あそこにいるのは……」

下駄箱には由真がいた。もう帰るみたいだ。

「よう、由真」

「……なんだ、貴明か」

「今帰りか?」

「まぁね。そう言うあんたは?」

「見りゃわかるだろ?」

俺は鞄を上げて見せた。

「確かに。まぁいいわ。それよりあんた、今日暇?」

「暇と言えば暇だけど、なに?」

「あそこのゲームセンターに、新しいガンシューティングが入ったんだけどさ」

ほう、この前対戦台が入ったばかりだというのになかなかやるな。

「やってみたらかなり難しいのよねー。」

「俺に手伝えと?」

「ううん。あんたも出来ないだろうから、笑ってやろうと思って」

「おい!てめー!」

性格が悪いにも程がある。

「ふふふ、さすがに冗談よ。どう?一緒にクリアを目指さない?」

「……何か企んでないか?」

俺は前こいつにはめられてコテンパンに負けたことがある。

「何、まだあの時の事根に持ってるの?小さい男は嫌われるわよ?」

「罠を仕掛けた奴の言う事を素直に信じられるか!」

「大丈夫よ、今回は本当にクリアしたいだけだから。勝負はその後まで待ってあげるわ」

「……本当だな?」

「疑り深いわねー。あんたも知ってるでしょ?ガンシューティングは一人でやるより二人の方が難易度が違うって」

確かに。足さえ引っ張りあわなければ二人プレイの方が有利だ。しかし……。

「お前、そういうの意地でも一人でクリアするタイプだろ?」

由真は非常に負けず嫌いだ。それのお陰で今まで俺がどれだけ被害を被ってきたか。

「私もやろうとしたわよ!……でも3千円かけても無理だったし。はぁ〜」

ガクッと肩を落とす由真。確かに3千円はいたいわな。

「その敵を討ちたいってことか」

「そうよ。そのためなら癪に障るけどあんたと組んでもいいと思ったわけよ」

つまり俺に勝つよりゲームに勝つほうを優先させたというかとか。それなら信じてもいいかな。

「わかった。協力しよう」

「ホント!よし、そうと決まれば早速出発よ!わかってると思うけど、足引っ張るんじゃないわよ!」

そう言って由真は歩き出した。……なんでお前はそんなに偉そうなんだ?

「はいはい、分かりましたよ」

俺は由真に続き、昇降口を出ようとする。その時、

「る〜〜〜☆」

よく知っている声が聞こえてきた。

「あれ、珊瑚ちゃん」

珊瑚ちゃんは俺のほうにやってきた。

「たかあき、今帰りなん?」

「うん、そうだけど」

「うちもやねん。なぁ、一緒に帰ろ?

「え、でも瑠璃ちゃんは?」

「瑠璃ちゃん、今日用事あるから遅くなるねん。だからたかあき、一緒に帰ろ?」

う〜ん、珊瑚ちゃんを一人で帰すのも可哀想だし、かといって、俺には先約がある。

「たかあき、ダメなん?うちと一緒に帰るの嫌?」

上目遣いで俺を見る珊瑚ちゃん。ぐっ、だけど……。

「ちょっと、貴明!なにやってるのよ!」

痺れを切らした由真がこちらにやってきた。

「だいたいあんた!コッチに来るまでいったい……ってあれ?その子、誰?」

「えーと、彼女は……」

「なあなあ、このおね〜さん、たかあきの友達?」

友達?由真って友達のカテゴリーに入るんだろうか?

「まぁ、友達というかライバルというか…。」

うん、わかった。たかあきの友達ならうちの友達や」

そういうと珊瑚ちゃんは由真の方を向く。

うち、姫百合珊瑚いいます。おね〜さんよろしゅうお願いします」

ぺこりと頭を下げる。うん、礼儀正しいのはいいけど人の話は最後まで聞いた方がいいよ?

「はぁ、これはご丁寧に。長瀬由真です。よろしく…。」

つられて頭を下げる由真。そういえば、由真の苗字って長瀬なんだよな。未だに違和感を覚えてしまう。

…?長瀬?長瀬ってどこか他のところで聞いた気が……。

「って!そうじゃなくて、この子はいったいなんなのよ?!」

姫百合珊瑚〜」

某宇宙人のように手を上げて答える珊瑚ちゃん。

「だーー!!そういうことじゃなくて!」

「じゃあ、どういうことなん?」

「あなたとあのバカの関係よ!」

「うちとたかあきはらぶらぶや〜」

ぶっ!!

「た〜か〜あ〜き〜?」

ギギギっと此方を向く由真。なんだか殺気を感じるんですけど…。

「あんた、こんな小さい子に手を出したっていうの!」

俺の襟首を掴んで振り回す。

「い、いや、珊瑚ちゃんは俺達と1歳しか違わないんだけど…」

「そ〜いう問題じゃないでしょ!」

「じゃあ、どういう問題…」

「問〜答〜無〜用!」

ああっ!もう訳がわからん!俺は首を振られながらも、珊瑚ちゃんに助けを求めるため視線をむける。

由真ちゃんとたかあきもらぶらぶなんやな〜」

俺の視線に気づきにぱっと笑いながら言う。しまった、明らかな人選ミスだ。

「誰と誰がらぶらぶなのよ!」

顔を真っ赤にしながら怒鳴る由真。

「由真ちゃんとたかあき〜」

「ちがーう!!」

「ちがうん?」

少し首を傾げる。

「そうよ、どこをどう見たらそう見えるのよ!」

「うーんと、全部〜」

「!!」

「由真ちゃん、本当はたかあき大好きなんやけど、てれとるから素直になれへんのやろ?」

「!!!!」

由真ちゃん、瑠璃ちゃんと似てるとこあると思うねん。だからうちにはわかる〜」

あ〜、確かに由真と瑠璃ちゃんって似ているとこあるかもな。人の靴に画鋲を仕込もうとするあたりとか(泣

「〜〜〜〜〜!!!」

いつの間にやら由真は手を放し、下を向いてプルプル震えていた。

「こ…」

「こ?」

「これで勝ったとおもうなよ〜!!!」

そう言うと走り出していってしまった。

「お〜い、ゲームセンターはどうするんだ〜ってもう聞こえないか。」

「雄二の真似っこ?」

「いや、あっちが本家だし」

わからない人ごめんなさい。

「ふー仕方ない、先約も無くなったし、帰ろうか。珊瑚ちゃん?」

「由真ちゃん、ええの?」

「あいつは明日にでもなったらケロッとしてるでしょ」

「そうなん?」

「そうなのです」

「ふふ、たかあき由真ちゃんのこと、よ〜わかっととるんやな〜。ちょっとうらやましいわ。」

「ま、腐れ縁だしね。じゃ、行こうか」

「うん!」

そういうと珊瑚ちゃんは俺の腕に自分の腕を絡めた。

「さ、珊瑚ちゃん?」

「ええやん。さ、帰ろ」

そういって歩きはじめてしまった。

「ちょ、ちょっと!」

「うちとたかあきはらぶらぶや〜!」

こうして俺は由真とゲームセンターに行く代わりに珊瑚ちゃんと腕を組んでかえることになりましたとさ。……あー、恥ずかしくて死ぬかと思った。

 

追伸

由真は次の日あっても真っ赤になってまともに喋ってくれませんでした。…なぜ?

 

 

 

あとがき

由真と瑠璃っていじっぱりなところとか似ていると思いませんか。私は結構似ていると思います。だから珊瑚には由真の気持ちがわかるかな〜と思い今回の作品を作りました。いかがでしたでしょうか。

これ、本当はもっと別の展開にするはずでしたが、上に書いてあるような事を考えてしまったため途中で路線変更しました。ボリュームが少ないのそのためです。最後に由真があのセリフをいう所は変わりませんけど。

では、最後にお礼を。シンサーンさん感想有難うございました。由真の話を作ってみました。どうでしょうか?珊瑚がかなり出張っている感じもしますが……。

他のこれを読んでくださっている方も好きなキャラを教えて下されば最優先で書かせていただきます。ですが、出来のほうはあまり期待をしないでくださいね。感想もまってます。

 

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