俺は今商店街に来ている。最近自炊しているから食材の減りが早いのだ。まだまだ簡単なものしか作れないし、作るのも面倒なんだけど、やらないとたま姉が五月蝿い。生活の全てを管理されるのはご免である。
「さて今日は何にするかな」
まぁ、スーパーに行ってから決めよう。
「せんぱーい!」
む、この声は……
「先輩、お久しぶりっス!」
「……お久しぶりです。先輩」
振り向くとタヌキっ子とキツネっ子が立っていた。
なんてことの無い一日(番外)
「いやー、こんなとこで会うなんて奇遇ッスね!」
「本当、偶然……」
「あ、ああそうだね。」
女の子が苦手なのはまだ直りそうにないらしく、俺はどうもこの子らが苦手だ。
「うちらこれからアイス食べに行こうとしてるンスよ。先輩は何してんスか?」
「ちょっと買い物を……」
タヌキっ子はちょっと考えるようなしぐさをした。
「ふぬ、確か先輩は今一人暮らし。ということは自分で料理作ってるんスか?!」
「まぁ、一応」
「すげー!先輩って料理出来たんスね!」
「そ、そんなに驚くことか?」
「よっちは超料理ベタだから」
「超とかいうな!ただ少し苦手なだけっしょ!」
「あれは人の食べる物じゃない」
「むっきー!自分が少しできるからっていい気になってんじゃないわよ!この冷血ギツネ!」
「料理もできないタヌキは用済み」
「なんだとー!」
「やるのか?」
キツネとタヌキの化かし合い……もとい口喧嘩が始まった。
チャンスだ!今のうちに……。
「なんか急がしそうだから、俺もう行くよ」
三十六計逃げるにしかず、だ。
「あ〜!ちょっと待ってくださいよ、先輩!なんで行っちゃうんスか!」
しかしタヌキっ子に呼び止められてしまった。
「いや、邪魔しちゃ悪いかな〜って」
「そんなことないッスよ!ね、ちゃる?」
「うむ、その通りだ」
「でも、二人とも用事があるんだろう?」
俺にも一応用事があるからな。さっさと行かないと。
「用事ってもアイス食べに行くだけですし……。そうだ!先輩も一緒にどうっスか?」
「えっでも……」
「なんスか、私達とアイス食べるのは嫌なんスか?」
こっちにつめ寄ってくるタヌキっ子。うう、そんなに顔を近づけないでくれ。
「二人の邪魔になるだろ?」
「女二人相手に何言ってるスか!ほら、ちゃるも何とか言って!」
その言葉に反応したのか、キツネっ子は眉をハの字に曲げ、俺の手を握った。
「先輩、私のコト、キライ……?」
「まさか〜。うん、分かっ、って言うかー!!!」
危ない危ない。あやうくのせられる所だった。
「なっ!そんな高等技術、一体どこで?!ちゃる、恐ろしい娘……」
もう、色々たいへんだ。
「ちょっと本で読んで。でも、先輩には効かなかった」
「やっぱり、色気がたりないんじゃないの〜?次は私が……」
「やめておけ。よっちでは無理だ」
「なによー!あんたより色気はあるわ!」
胸をはるタヌキっ子。
「残念だったな。先輩は小さいのが好きなんだ」
「ふん!あんたは中途半端っしょ!それにやってみないとわかんない!」
そう言い、こちらに寄ってこようとするタヌキっ子。というか俺らってさっきから商店街にいる人に見られてるんだよな。さすがにこのまま恥じを晒す訳にはいかない。
「わかった、わかりました!一緒に行かせてもらうよ」
「えっ!マジっすか?!」
「……やっぱり私のが効いていたんですね?」
「んな訳ないっしょ!やっぱり私の色気が……」
「それこそありえない」
「なんだとー!この、貧乳キツネ!」
「バカタヌキ」
また、喧嘩を始めようとする二人。
「あーっ、もう!さっさと行くぞ」
「あ〜待って下さいよー」
「……。」
俺達はアイス屋に向かった。
「すいませーん!チョコチップとストロベリーのダブル下さい!」
「私は抹茶とラムレーズンのダブル」
「先輩はなんにするンスか?」
「じゃあ、俺はバニラとチョコで」
「了解ッス!すいませーん!バニラとチョコのダブルもー!」
アイスを受け取ると開いている席に座った。
「いやー、やっぱチョコチップとストロベリーのコンビは最高っすね!」
「抹茶とラムレーズンもいける」
「先輩のはどうッスか?」
「ん、ああ。まあまあだな。」
「じゃあ、一口下さいッス」
そう言うとタヌキっ子は俺の返答を聞かずにアイスを食べてしまった。
「うん、こっちも良いッスね」
いや、っていうか間接キスなんですけど。
「よっちばっかりズルイ。私も」
今度はキツネっ子が食べてしまった。
「うん。いける」
「……。」
俺は二人に食べられたアイスをジッと見つめる。さすがに食べづらいデスヨ?
「あ、スイマセン気づかなくて。先輩、私のも一口いいッスよ?」
俺がアイスを見ていたのを違うふうに解釈したらしい。
「私のも」
二人して俺の前に自分のアイスを持ちだした。
「はい、先輩。あ−ん」
「あーんして下さい」
「い、いや、さすがにちょっと……」
「先輩早くしないと溶けちゃうッスよ!」
「早くしてください」
無理を言う。しかしこうなったら、
「わかったよ」
意を決しパクッパクッと二人のアイスを食べた。
「どうっすか。おいしいッスよね?」
「どうでしたか」
「ああ、美味かったよ」
本当は恥ずかし過ぎて味なんて分かんなかった。
「へへー。さすが先輩は分かってるッスね」
「先輩もこの味が分かりますか」
二人とも今度は自分の口に持っていってパクパクと食べ始める。
「……。」
「先輩、食べないッスか?」
「いや、食う。食うよ」
早いとこ食ってしまおう。さっきみたいな事にまたならない内に。
「……。」
やっぱり食べづらいよな〜。
「先輩って食べるの遅いんッスね」
「ああ、まあな」
あれからアイスを食い終わって店を出た俺達。俺が一番遅かったのは言うまでもない。
「さて、これからどうするッスか?」
「どうするも何も俺はこれから買い物があるんだけど」
「えー!もっと遊びましょうよ!」
「でも買い物が……」
「うちら間接キスした仲じゃないッスか!」
「!」
やっぱり知っててやったのか。
「そうか、あれは間接キスになるんだな」
こっちは無意識でやったらしい。
「まぁ、いいか。先輩だし」
何がいいんだ、キツネっ子。
「ね〜、先輩、遊びましょうよ〜。キツネと二人で遊ぶのも飽たッスよ〜」
「それは私も同意見だ」
こっちをじっと見てくる二人。
「せんぱ〜い」
「先輩……」
「ふう、わかったよ」
じっと見つめていられるのも辛いので、俺は折れる事にした。
「やった〜」
「やった」
二人は俺の両側につき、腕を組んだ。
「お、おいちょっと!」
「いいじゃないッスか、サービスッスよ!」
「先輩、両手に花」
自分で言うなキツネっ子。
「よ〜し、しゅぱ〜つ!」
「出発」
「ああ、もう勝手にしてくれ!」
そうして俺は二人に連行されるようにして遊びに繰り出すのだった。
追伸
振り回されて結局当初の目的は果たせませんでした。ちくしょ〜。
あとがき
なんだか長くなったのでコッチに載せる事にしました。如何でしたでしょうか?自分的にはちゃるが上手く書けなかった気がします。よっちはまあまあかな?よっち、ちゃるの料理に関しては全部想像です。ゲームで出てましたっけ?私は覚えて無いです。
これでなんでも無い一日シリーズのネタは無くなりました。次に何を書こうか悩んでいます。好きなキャラとか教えて下さい。待っています。
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