「あ、あのこれ受け取って下さい!!」

そう言ってセネルに一通の封筒を渡す一人の少女。

「……はぁ」

自分の前に出されている手紙に戸惑いながらも、このままにしてはおけないので受け取るセネル。

「ありがとうございます!!」

そう言って彼女は顔を上げ、花のように可憐な笑みを浮かべた後、反転して走って行った。

「……」

呆然と彼女を見送るセネル。先程の笑顔の余波で頬が少し染まっている。

 

なにはともあれ、

事件(?)はここから始まった。

 

 

 

お兄ちゃんへのラブレター?

 

 

「おうおう、セの字。何もらったんじゃ?」

そう言いながらセネルの手の中にあるものを覗き込むモーゼス。

興味津々の彼に呆れた表情で

「モーゼスさん、知らないんですか?それは『ラブレター』というものですよ」

ジェイがいつもの調子で皮肉を述べ、

「あ、すいません。野蛮なモーゼスさんはそういうものとは全く無縁の世界にいらっしゃいますから見たことなかったんですよね」

いつものように追い討ちをかけた。

「なんじゃとー!!ジェイ坊!!」

ジェイの挑発に乗るモーゼス。これもいつもの光景だが、違う点が一つだけ。

「そうよ!!ジェイジェイ!!」

「おお、シャボン娘!!」

ノーマが真剣な顔をして割り込んで来た事である。味方が現れたと、喜ぶモーゼス。

「な、なんですか、ノーマさん」

いつもとは違うノーマの様子に少し戸惑い気味のジェイ。

そんなジェイを睨むように見るノーマ。

彼女の後ろではモーゼスが「言ったれ、言ったれ!!」と声援を送っている。

そしてノーマは彼の方を一度振り向き、「わかってる」と頷いた後、口を開いた。

「人間、本当の事言われるのが一番傷つくんだからね!!」

……。

暫しの沈黙……。

「……真剣な顔して何を言うのかと思ったら……」

「……わいの味方はおらんのか」

沈痛な面持ちで首を振るジェイとガクっと肩を落とすモーゼスなのだった。

 

「と、まぁモーすけをからかうのは置いておいて……」

ノーマはまるで先程のやり取りがなかったかのようにニヤッと小悪魔じみた笑いを浮かべ、セネルに近づく。

そして彼の脇を肘でつつきながら

「で、セネセネどうするの?」

「ど、どうするのって何がだよ?」

「またまた〜」

ピシピシと彼の背中を叩くノーマ。

「返事に決まってるでしょ、返事に」

その言葉で突然の出来事で固まっていた女の子二名がピクリと動く。

「どうするの、どうするの?ねーってばー」

小鳥のようにピーチクパーチク喋るノーマ。

この件に関して興味津々のご様子だ。

「返事って言ってもだな、俺は彼女の事知らないんだぞ?」

「えー、そうなのー?あたしてっきりセネセネがナンパでもしたのかと思ったんだけどなー」

ピシッ

女の子二名に青筋発生。

「な、ナンパ?!お、俺がそんな事するはずがないだろ?!」

「じゃあなんで向こうはセネセネの事知ってたの?」

「それは……」

答えにつまるセネル。本当に知らないから答えようもない。

「ふむ……」

ここでパーティのお父さんが口を開いた。

「ここ最近、セネルは保安官として街の人たちからも認められつつあるからな。偶然お前を見かけて一目ぼれしたのではないのか?」

「え、まじ?セネセネやったじゃん!!」

それを聞いてノーマの瞳が輝きを増す。

「やったって、お前……」

「だってあの娘かなりの美人さんだったでしょ?どことなくお嬢様っぽい雰囲気もしてたし〜」

「彼女は3丁目のエルインさんという。その気立ての良さから街一番の美人とも評判だ」

「だってさ。それにパッと見だったけどスタイルも良かったしね〜。ま、グー姉さんには劣るけど」

ちらっと後ろを見るノーマ。

そこには天女の称号を持つグリューネがみんなを見てニコニコと笑っていた。

「でも、それでもかなりの高ポイントには変わらないよね〜。セネセネもちょっと見とれてたし〜」

「な、お前!!」

「ばっちりみてたよ、あたし〜」

黄色い悪魔がニヤリと笑った。

ブチッ

堪忍袋の緒が切れた音がした、と後にセネルは語る。

「おにいちゃ〜ん?」

「く〜りっじ〜?」

体に嫉妬ぱわーをみなぎらせ、セネルの事を睨みつける。

「しゃ、シャーリー、クロエ、ど、どうした?」

「あらあら、二人ともお顔が怖いわよ〜」

こんな状況にも関わらず、のほほーんとつげるグリューネ。

さすが、パーティ1の大物である。

「……怖いというか、殺気立ってますよね」

「へたに手出したら死ぬんじゃないんか?」

男二人引きまくっている。

寄しくもこの時思っている事は二人とも同じであった。

つまり、「女の嫉妬は恐ろしい」である

「そこに直れ!!その性根、叩きなおしてやる!!」

「ふふ、ちょっとお兄ちゃんにはお仕置きが必要かな?」

ジリジリと寄ってくる二人。特にシャーリーの方は今まで見せた事がない黒すぎる笑みを浮かべている。

二人の殺気に押され、後退するセネル。

「い、いや、落ち着け二人とも。話せばわかる。な?」

「「問答無用!!」」

「う、うわー!!」

二人に迫られ、ついにセネルは逃げ出した。

「あ、逃げた!」

「追えー!!」

こうして鬼二人という変則鬼ごっこが始まった。

 

「……行ってしまいましたね」

「三人とも、とーっても仲がいいのね。お姉さん、羨ましいわ〜」

「いや、姉さん。それ違う」

「ふー、やれやれ。セネルももう少し毅然とした態度をとればいいのだがな」

見送る4人。しかしノーマだけはしゃがみこんで何かをしている。

「えーっと、なになに」

どうやらセネルが落とした手紙を読んでいるようだ。

「あちゃー、なんて紛らわしい」

「む、どうしたノーマ」

ノーマの声にウィルが反応して振り返る。

「あ、ウィルっち。ちょっとこれ読んでみてよ」

そう言って拾った手紙をウィルの読める位置に持っていく。

そのやり取りを聞いて、なんだなんだと残りのメンバーも手紙の見える位置に移動した。

「……ノーマさん。これセネルさんが貰った手紙じゃないですか」

「人のもん勝手に読むなんざ、趣味悪いで?シャボン娘」

ジト目でノーマを見る二人。

「うっさいな。いいからあんたらも読んでみる!!」

しかし、男どもはさすがに躊躇したのか、手紙を見ようとはしない。

それに業を煮やしたノーマが叫ぶ。

「ああ、もう、誰でもいいから読む!!」

その声に反応したのか、ようやく事態を理解できたのかは定かではないが、これにグリューネが動いた。

「え〜っと、『この前は魔物から助けていただいて有難うございました』?あら、これラブレターじゃないわね〜」

「「「ええ!!」」」

グリューネの発した言葉に驚きの声を上げる野郎三人。

「つーことはなんじゃ、セの字は……」

「完全に……」

「免罪だな」

みんなしてセネルが逃げた方向に目を向ける。

「ま、これもモテる男の宿命って奴よね……」

そう言ってノーマは一人南無南無と手をあわせるのだった。

 

「誰か助けてくれー!!」

「「待てー!!」」

その後、どうなったかは本人達のみ知っている……。

 

 

おわり

 

 

 

あとがき

勢いでレジェンディアのSSを書いたのはいいんですけど……

やっべー超駄作になっちまった。

つーか総数8人は流石に無理がありますよ?

しかも短いし。

でも、まぁ、書いたの初めてですし、今回は勘弁してください。

次回はキャラ数を減らしてもうちょっとまともに書けるよう努力します。

……次があればですけどね。

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