オカルト研究会にて(2)
現在場所は元オカルト研究会部室。色々と噂はあるが、学校の方では廃部扱いとなっているので今は物置として使われている、と会長が言っていた。
「よーし、早速入ってみようか」
「入るのはいいんだけどさ会長、ここ鍵閉まってるんだけど?」
扉をガタガタさせても開く気配は全くない。まぁ、物置として使われているなら当たり前か。
「ふっふっふっ、その辺は抜かり無しよ、タカちゃん」
そう言うとポケットをゴソゴソと探り、中から鍵を取り出す。
「じゃーん!これがあれば問題無しよ!」
誇らしげに鍵を見せびらかす会長。しかし、そんなことよりも俺には気になる事ができてしまった。
「……なぁ?なんでここの鍵なんか持ってるんだ?」
ミス研はお世辞にも評判が良いとはいえないので、先生も鍵を借してくれるはずはないのだが……。
「え?それはこの前職員室に行ったついでにチョッパ……ゲフンゲフン。借りてきたのよ?」
わざとらしくセキをしたのを見逃す俺では無い。
「おい!こら!今チョッパってって聞こえたぞ!」
会長、時々……いや、かなり手段を選ばないからな。無断借用ぐらい平気でやってのけるだろう。
「もう、タカちゃん、そんな細かい事どうでもいいじゃない。今は目の前にあるミステリーの追求が先決よ!」
会長はそう言うと扉の前でカチャカチャと鍵を開けようとする。
「……よし!開いた。はい、タカちゃんこれ」
鍵を開けた後、俺の手に鍵を渡す。
「これって……どういう意味?」
「え?そんなの決まってるじゃない。私が借りて来たんだから、返すのはタカちゃんよ?当たり前でしょ?」
キョトンとし、さも当然の事のように言ってのける。
「当たり前なわけあるかー!おれの方がリスク目茶目茶高いじゃねーか!!」
しかもお前の場合は無断借用だろうが!
「ま、それは勇気と気力で立ち向かってちょうだいな」
「俺はそんなスキル持ち合わせてねー!」
かるーく言ってくれる会長に俺は抗議の声をあげる。
「タカちゃん」
そんな俺に対し、急に声の調子を変えてこちらを見つめてくる。
「あたしのお願いが聞けないのかなー。今平穏に学生生活を送れるのは誰のお陰かしらね。ねー、タ・カ・ちゃん」
暗に「承知しないとあの事ばらすぞ、コラ」と言ってるようなものである。この野郎、人の足元見やがって!
「……わかったよ。俺がどうにかすればいいんだろ」
しかしその事を出されたら俺は承諾せざるおえない。
「うん!さっすがタカちゃん!話がわかるねー」
ニコニコ笑いながら言って下さる。お前のは脅迫だっつーの!
「でも、そんなに心配しなくても大丈夫よ?ここの鍵なんか使ってる人ほとんどいないから、たぶん先生たちも持ち出した事に気づいてないんじゃないかしら?」
「なんだよ。それを先に言え」
覚悟決めた俺が馬鹿みたいじゃないか。
「だって、タカちゃんからかうと楽しいんだもん。いい突込みもしてくれるしね」
目を細め、いたずらっぽく笑う。
「俺は芸人じゃねー!!」
は!いかんいかん。これじゃあ会長の思うツボだ。
会長の方を見ると、うんうんと満足そうに頷いている。
「さて、前菜はこれぐらいにしてメインディッシュといきますか。早く鍵返した方がタカちゃんも安心するだろうしね」
「おう、ぜひそうしてくれ」
まぁ、この人もなんだかんだ言って俺の事を考えてくれてるんだよな。……随分とひねくれてるけど。
「んじゃ行っくよー!」
その言葉を合図に俺達は部屋の中へ入っていくのだった。
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