「……教えてくれ、河野。俺達は後どれぐらい掃除をし続けたらいい?」
「……藤田」
「俺達はいつになったら次の場面へ進めるんだ?作者は何も言ってはくれない。教えてくれ、河野!!」
「藤田、それは……!!」
「……ショートコントはそれくらいにしておかないと、何時までたっても終わりませんよ?」
「「うーい」」
「では、本編をお楽しみください」
過去にて(8)
「ふー、それにしてもえらく長い時間掃除をしていた気がするぜ。……大体二ヶ月くらい」
床の汚れを熱心に落としていた藤田が疲労した声を出す。
「ははは、そんなわけはないだろ。まぁ、確かに長くは感じるけどな」
窓をキュッキュと拭きながら俺がそれに応えてやる。
長くかかったが、その甲斐あってか、部屋は埃を被った状態からなんとか人が住めるものへと変化した。最初の頃が嘘のようである。
「セリオが来てからが早かったよな」
「ああ、全くだ」
なあなあで掃除をしていた俺達に指示を与え役割分担し、作業の効率化を図ってくれたセリオ。その上ポイント事の汚れを早く落とす方法なんかも教えてくれて本当に大助かりである。ぶっちゃけ彼女がいなければ今日中に終わらせるのは不可能だっただろう。
「で、そっちはどうだ河野。もう終わりそうか?」
「おう、バッチリだ。そういうそっちは?」
「まかせとけよ。もうちょっとでミッション終了だ」
どうやら終わりの時も近いようである。
「それではあと少し」
「頑張りますか」
そうして俺達はそれぞれの残り少ないそれぞれの仕事に没頭するのだった。
「ん?」
「どうした?」
「いや、なんかいい匂いがしてこないか?」
「ん〜?」
意識をしてみると、確かになんだか甘い香り鼻腔に入ってくるのが感じられる。
「あ、本当だ」
「場所からして台所だよな。ちょっと行ってみるか」
「了解」
持ち場を離れ台所に進む俺達。
そして現場で見つけたのはエプロン姿でホットケーキを焼くセリオの姿だった。
「あれ、何やってんの?」
「見ての通りですが」
こちらを一瞥したあと、またホットケーキを焼く姿を再会する。……クールだ。
「い、いやそうじゃなくて。確かセリオの担当は台所だろ?その掃除は終わったのかなーって」
「河野」
その質問に答えたのは彼女ではなく俺の隣にいる男、藤田だった。
奴はこちらの肩に手をポンと乗せ、首を振り
「相手はメイドロボだぞ?俺達とは速さも、精密さも格が違うのだよ」
「あー」
そう言われてみるとやけに台所が綺麗な気がする。
「流石って事か。セリオ」
「いえ、それほどの事ではありません」
と、彼女はこちらを向かずにそう答えた。そしてその態勢のまま言葉を続ける。
「ところでお二人の方は終わったのですか?」
「ああ、もうちょっとだな。ちょっとホットケーキの焼く匂いいにつられちゃってな」
「では、早く済ませてください。それが終わったらおやつにしましょう」
「お、それはいいな。よし、河野チャッチャと終わらせるか」
と言うや否や俺の手を引っ張ってもと来た道にもどる藤田。
「お、おい」
「さぁ、ホットケーキが俺達を待ってるぜ!!」
異様なほどの張り切りようである。
……もしかしてこいつ腹ペコキャラなのか?
引っ張られながらそんな事を考える俺なのだった。
あとがき
最近スランプです……(泣
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