オカルト研究会にて(1)
「と、いうわけで今日はオカルト研究会について調べたいと思いまーす!」
テーブルを挟んで向かい側に座っている女の子が元気な声を上げた。
場所は現在ミステリー研究会部室。まぁ、部室といってもほとんど物置みたいなものなんだけど。そしてこの場所にいるのは二人。俺こと河野貴明と会長こと笹森花梨である。
新学期始まって早々、俺は会長の悪徳商法まがいの勧誘に引っかかってしまい、まんまとこのミステリー研究会に入部させられてしまったのだ。入部を取り消してもらおうと色々と頑張ってみたが、その結果逆に弱みを握られてしまい、今では奴の忠実な部員となってしまった。くっそー!あのオレンジの悪魔めいつか絶対にやめてやる!
「ちょっとたかちゃん、聞いてるの?」
俺が何も言わなかったのが不満なのか、こちらに身を乗り出してくる会長。
「ん?ああ、オカルト研究会についてだろ?」
俺がそう言うと会長は立ち上がり、両手を合わせ、夢見るような表情で上を向く。
「そう!本当はもう誰もいないのにも関わらず新入生の部活紹介に載っているというこの不思議!そして飛び交う様々な噂!ああ、とっても気になるわ〜」
「単にパンフレットを作った奴が間違えて載せただけなんじゃねーの?」
片手をぷらぷら振り頬杖をつきながら俺は気だるげに言葉を発す。俺にはどうでもいい事だしな。早く帰って寝たいぜ。
「いいえ!あたしの勘が何かあるっていってるわ!絶対に調べてみる価値あり!よ」
ピシっとこちらを指差しながら言う彼女。会長の勘ね〜、当てになったためしがないんだけど。
「で、それを調べるためわざわざこんな時間に集まったと?」
「あら、たかちゃん。部活動は放課後に行うのが常識よ?」
「おせーよ!やるならもっと早くやれ!」
時刻はすでに午後五時すぎ。もう早い部活は終わっている時間だ。この学校は完全下校時刻が六時であるから後一時間しかない。
「大丈夫よ、ちょっとくらい遅くなっても。先生も部活熱心だなーってぐらいしか思わないって」
あははは、と笑いながら俺の肩を軽く叩く。そういう問題では無い。会長のちょっとって一般人にはかなりと同じ意味を持っている。それはこの部活に無理やりつき合わされている俺がよーく知っている。
「それにさ、遅い時間の方が何か出そうな気がしない?」
「しねーよ!!」
わくわくしている会長を怒鳴りつける。全く、本当に何か出てきたらどうするんだ。世の中には不思議なことがいっぱいあるんだぞ?
「もう、たかちゃんは怒りっぽいなー。そんな事だと何も起こってくれないよ?」
腰に手を当て溜息を一つつく。というか何か起こる事を期待するな!何かあったらすぐ俺に押し付けるくせに。
「ま、いいわ。とりあえず行ってみない事には始まらないしね。と、いうことで出発するよ、たかちゃん!」
「へいへい」
しぶしぶ席を立つ。ふー、めんどくさい。
「それでは、オカルト研究会探索部隊出動!」
「おー」
会長が元気に手を上げるのにあわせて一応俺も手をあげる。
そうして俺達は真実を求めオカルト研究会部室へと向かうのだった。
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