いろいろと辻褄が合わないところがありますが、了承できる方のみ、お読みください

 

 

なんてことの無い一日Ver.C1

 

 

 

「ふぅ」

朝っぱらから溜息が出てしまう。

「どうした、朋也。溜息なんて吐くと幸せが逃げてしまうと言うぞ?」

隣では何が嬉しいのか知らないが、頬の筋肉を緩めたままの生徒会長さまがそうおっしゃる。

こいつ、会長に就任してからというもの『遅刻撲滅』を掲げ、毎朝俺を起こしに来るようになりやがった。

なんでも美佐枝さんが生徒会長だったころの記録に挑戦したいらしく、その手始めとして、知り合いで尚且つ遅刻魔である俺の更生から取り掛かるつもりらしい。

俺としては大迷惑もいい所である。

やるのならば、まずは俺よりも生活態度の酷い春原からにしてほしい。

「もちろんあのバカも更生させる。しかし、あいつの家は学校の近くだからな。お前を起こしてからの方が効率がいいのだ。このことに関しては最初に説明しただろう?」

「そうだけどさ、俺が眠い目擦って早く起きているのに、あいつが俺よりも長い時間寝てるっていうのがどうしても気に食わないんだよなぁ」

むしろ、あいつを起こしてから俺の所に来て欲しい。

「そうしたら私が二度手間になるだろうが。私はこれでも忙しいんだぞ?」

「だったらあいつだけ起こしてそのまま連れて行ってくれ。俺は俺で頑張ってみるから」

心の中で『一応』という言葉を最後に付け足す。

「ダメだ。そんな事言って結局は遅刻するつもりだろう?私には『一応頑張ってみたが無理だった』みたいな言い訳をしてな」

お前の事はわかってるんだぞ?とでもいいたげな表情でふふーんと鼻を鳴らす。

……当たっているだけに何も言い返せない。

「それに私にも少しくらいの役得があってもいいだろう」

「はあ?俺達を起こす事でお前になんか得でもあるのか?」

点数稼ぎにか?

いや、こいつに対する教師の評価なんて既にMAXだろう。

今更そんな事をする必要性は感じられない。

俺が訳が分らないといった顔をしていると、

「……」

智代が無言で俺の顔を見てきた。

何か含んだ表情ではあるが、それが何かは俺には読み取れない。

「……なんだよ?」

暫く俺達は互いを見ていたが、

「はぁ」

智代が溜息を吐いた。

……俺の顔を見ながら。

「をい」

流石にそれは失礼に値するんじゃないのか?

「どっちが失礼だ。この大馬鹿者」

なんだか酷い言われ様である。

「鈍い鈍いとは思っていたが、まさかここまで鈍いとはな。……先が思いやられる」

そう言って今度は先程よりも深い溜息を吐く。

「おい、どういう意味だよそれ?俺はどちらかというと俊敏な方だと、ご町内の方々にも有名だぞ?」

「なんだその言い回しは?……もういい。時間もあまり無い事だし、さっさと進むぞ」

そう言うと、プイッと前を向き、歩行速度を上げていく智代。

心なしか少し怒っているように思われる。

俺のギャグの所為だろうか? 

最近ツッコミの方ばかりだったから腕が落ちたのかもしれないな。これは早急な対策が必要な問題だ。

「おい、何をボーっとしている!時間が無いと言っただろうが!」

おっと、少し考え事をしていたら距離が離れてしまったようだ。

急がないと俺の身の危険度が加速度的に増してしまう。

それは拙いので俺は足早で歩き、仁王立ちしている智代の隣に並ぶ。

「こんなにかわいい女の子と歩いているのにボーっとするなんて……お前は本当にどうしようもない奴だな」

「それはすいませんね」

肩を竦めて軽く流す。

もういい加減、智代の皮肉にも慣れてきたからな。

これからは年上の威厳ってやつを見せてやろう。

「春原以下だな」

「それは聞き捨てならねー!!」

人間には堪忍袋というものが存在するのだ

「なんだ、随分とお前のは小さいんだな」

「誰でも春原と比べられればそうだっつーの!!」

お前も春原以下って言われた時の事を考えてみろってーんだ。

「……(考え中)」

「どうだ?」

「……」

苦虫を潰したような顔をする智代。

「……なんと言うか、その、悪かった。それは私が知る上で最上級の罵りの言葉だな」

うん、それが人として正しい判断だな。本当は怒り狂う場面だが、

「解ればいいだよ、解れば」

「うむ、そう言ってもらうと助かる」

こんな感じで俺達は学校までの道のりを歩いて行くのだった。

 

「と、いうわけで春原の部屋に着いたわけなのだが……」

「うむ、早く起こして学校に向かおう」

そう言うと、智代はドアをガチャリと開ける。

そして目に飛び込んでくるのは見慣れた春原の汚い部屋。

この前芽衣ちゃんが来たときに掃除してもらったというのに、もう元に戻っていやがる。

「……汚いな」

生理的嫌悪からか顔を歪める智代。こいつは綺麗好きとか言っていたからな。こんなゴミ箱のような部屋は直視に耐えかねるのだろう。

「早く用を済ませてしまおう。ここにいると、私の気分が著しく悪くなる」

つかつかとベットまで歩いていき、まだ眠っている春原の横に立つ。

「おい、起きろ」

ゲシ!

智代のヤクザキックが春原に炸裂。

寝ているため受身も何も取れない春原はその勢いのまま

ドカッ!

壁に激突した。

「な、なんだなんだ!!」

その衝撃で目を覚ました春原。

慌ててキョロキョロしている姿が、なんとも言えず馬鹿らしい。

「起きたか。学校に行く。着替えろ。五分以内だ」

それだけ言うと、踵を返し部屋から出て行く智代。

必要最低限の事しか言っていないあたり、本当にこの部屋に居たくないのだろう。

「えーっと……」

まだ状況が掴めていないのか、ポカンと口を開け馬鹿面をしているへたれ。

「あ、岡崎」

壁にもたれかかっていた俺を見つけ、声をかける。

目が虚ろで、どうやらまだボーっとしているようだ。当たり所が悪かったのだろうか?

このまま放っておいてもいいのだが、わざわざ智代の機嫌を悪化させる必要もないので、急かせるとしよう。

「春原、『起きたか。学校に行く。着替えろ。五分以内だ』」

「……ああ、智代か」

「急げよ。もし遅れたりしたらお前、宙に舞う事になるぞ?」

「うわ、本当にありそうで怖い。急がなくっちゃね。岡崎あと何分?」

「一分」

「一分か。一分もあれば楽……って一分スか?!

「お前がボーっとしている間にが過ぎちまったんだよ。驚いている暇はないぞ。今もこうしている間に刻一刻とお前の寿命は縮んでいってるんだぜ?」

ひいいぃぃ!?」

へたれた悲鳴を上げながら速攻で着替えに取り掛かっていく春原。

……このスピードなら間に合いそうだな。

それを確認した俺は、男の着替えなんて見たくもないのでとっとと部屋から出ることにした。

「じゃあな、春原。ああ、別にそんなに急がなくてもいいぞ?お前が飛んでくれた方が俺的には面白いからな。時間に間に合わないよう、祈っている」

「あんた鬼ッスねー!!!」

そんな叫び声が聞こえてきたが、当然無視し俺はガチャリとドアノブを回し、外へ出た。

 

外に出てみると、てっきり近くで待っているであろうと思った人物がいないのに気付いた。

「あれ、智代の奴何処行ったんだ?」

辺りを見渡してみると、寮の入り口の所にいるのを発見。

どうやら空を見上げているようだ。

「おーい、智代」

「ん、朋也か。春原はどうした?」

「今着替え中だ。かなりのスピードだったからな。もうニ、三分もすれば出てくると思う」

「ほう。五分では少しきついと思っていたが、それより早く出てきそうとはな。奴もようやく遅刻を止める気になったか」

そう言って一人でうんうんと頷く。

実は俺が嘘を教えた結果なんだが、そんな事を別に言わなくてもよい。

「この調子で生活態度も改めてくれればよいのだが……」

それは奴に真面目になれということだろうか。

真面目な春原……。

 

「では、この問題を……よし、春原答えてみろ」

「はい!」

スラスラスラ

「よし、正解だな。なかなか難しい問題だったが、よく解けたな」

「そんなー、授業を真面目に聞いていれば当然ですよ」

「うむ。みんなも春原を見習ってしっかりと勉強するように」

 

「ってそんなのありえねー!!」

「わ!」

俺の叫び声に驚き、目をパチクリさせる智代。

「ど、どうしたんだ、急に大きな声なんか出して?大丈夫か?」

「……ああ、すまん。ちょっと真面目な奴を想像しちまってな」

自分の想像だとわかっていても、思わずツッコミを入れちまった。

恐るべし真面目春原!!

「……そんな事で恐れられても全然嬉しくないんスけど」

「む、春原何時の間に?」

振り向くとそこにはどこかゲンナリとした春原が突っ立っていた。

「そんなに僕が真面目だったら違和感あるかね」

「あるね」

「即答ッスか?!」

「へたれじゃない春原は春原ではないからな」

そんな春原は世界がその存在を認めないだろう。

「あんた、かなり酷い事言ってますよね!!」

「そうか?常識だぞ?」

少なくとも、こいつを知っている人間にとっては。

「……お前達は」

ここで、春原が来てから黙っていた智代が口を開いた。

その顔は先程の春原以上にゲンナリとしている。

「二人揃うとどうしてそんなに騒がしいのだ?」

「それはもちろんあれだね!僕達が気の合う友達同士だからかな」

「え、マジで!」

「真顔でそんな事いうなよ岡崎!!」

「え、マジで!!(さわやか)」

「いや、笑顔で言ってくれってわけじゃないから!!」

「……このコントはいつまで続くんだ?」

深く、深く溜息を吐く智代なのだった。

 

その後、いい加減切れた智代が春原を蹴り上げる事によって騒動は鎮圧され、俺達は無事、学校へ向かう事が出来たのだった。

「あの時の春原の飛びっぷり、実に見事だった」

「というか、なんで人間が宙に浮くんだよ?僕自身の事ながら未だに信じられないんだけど」

飛んでいたにも関わらず、なんの怪我も無いお前が俺は信じられない。

「お前ら時間がないんだ!無駄口を叩いていないでとにかく走れ!!」

切羽詰った声を上げる智代。

今回は馬鹿騒ぎが長引いたため、時間がやばくなってしまったのだ。

「まったく、これでは早起きした意味がない」

「そうだぞ、春原」

「いや、僕は岡崎に言ってるんだと思うね」

醜く罪を擦り付け合う俺達。

「二人にだ!!」

「「は、はい!」」

あまりの剣幕に萎縮してしまう。

こえー、さすがは生徒会長なだけはあるぜ(意味不明

「急ぐぞ!スピード上げろ!」

「「サー、イエッサー!!」」

こんな感じで、俺達は学校へと走って行くのだった。

 

 

 

つづく

 

 

あとがき

初めての人には初めまして。お久しぶりの人にはこんにちは。

ども、コウトです。

クラナド、いいですよねー。とても面白かった。

シナリオもさることながら、キャラが非常によい。いい味だしまくりです。

個人的には春原が好きです。あのアホさ加減が最高。

朋也とあっきーもスキ。『マジで!』と『お前に、レインボー』のセリフには笑わせていただきました。

女の子は早苗さんだですかね。あの可愛らしさはマジでありえません。でも他の女の子も皆スキ。

そんな節操の無い私が書いた今回のSSですが、如何でしたか?

おもしろかったという方はまた次回も頑張りますので見に来てください

つまらなかったという方は、次回は今回よりもキャラ多く登場させたりして頑張るので気分が向いたら見に来てください。

見に来てくれたついでに感想とかもくれたら嬉しいです。叱咤激励、なんでもお待ちしております。感想は提示版へお気軽にどうぞ。

あまり長くするのもあれなんで今回はここまでにします。

最後になりましたが、こんな駄文を最後まで読んでくださって有難うございました。

コウトでした。

 

 

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