気になること

 

 

ぺっぺっぺっぺ

聞きなれたバイクの排気音。この時間、この場所を通る奴は奴しかいない

「……なぁ杏」

俺は振り向きもせずそう声を出す。

ぺっぺっぺっぺ……がた。

「あら朋也、よく、あたしだってわかったわね」

ああ、お前のガサツな気配を感じたんでな。こんなの杏しか出してないからすぐわかったよ。

「……あんた朝っぱらから喧嘩売ってるわけ?」

ドスの聞いた声で睨みつける杏。泣いてた赤子も思わず黙り込んでしまうほどの悪魔のような顔。とても年頃の女がする表情ではない。

こいつはきっとあれだ。

生まれる時に妹に女らしさというものを全て吸い取られてしまったのに違いない。

俺がそんな事を考えていると

ピキーン

頭の中にニュータイプのような閃光が走る!

俺はその直感に逆らうことなく右に飛ぶ。

ズド!!

一瞬の後、俺が立っていた場所が、辞書でえぐられていた。

ちなみに俺の立っていた場所は舗装された道路である。

おそるおそる振り返ってみると、

「……ちっ、あんた最近勘がいいわね」

オーバースローの投げ終えた体制で杏が舌打ちをしていた。

「おまえ……。これ当たったら大事になってたぞ?」

俺は未だコンクリートにのめりこんだままの漢和辞典を指差し、汗をたらす

つーか、こんなもん、どっからとりだしたんだよ?

「ふん、乙女の嗜みってやつよ」

そんな嗜みは、どの時空を探しまわってもない。

「……またなーんか考えたでしょう?」

「それよりも杏。実はお前に聞きたい事があるんだ」

またもや辞書を振りかぶっている杏に努めて冷静に話す俺。

内心はバックバックであるが、それを表へと出したら俺もへたれと同じになってしまう。

それだけはなんとしても避けたいところである。

例え相手が広辞苑を片手で持っている凶悪委員長が相手でも!

「何よ改まって」

とりあえず辞書は下に降ろし、俺の話に乗ってくる杏。

「うむ、実はだな……」

「実は?」

「なんでバイクの音がぺっぺっぺっなんだ?」

……。

……。

「……朋也。あんたは言ってはならない事を言ってしまったわ」

「あん?どういう意味だ」

「それは世界の修正の対象範囲内なのよ。残念ながら」

哀れむような表情をしながら六法全集を振りかぶる杏。

っておい!ちょっと待て!!

「大丈夫。ここで全部忘れればいいだけの話だから。ね?」

その言葉が聞こえたかと思った次の瞬間、俺の視界は辞書で埋め尽くされてしまう

ズドン!!

……バタッ。

「好奇心、猫をも殺すってね……」

ぺっぺっぺっぺ……

 

 

……パチ

「あれ、なんで俺こんな所で寝てるんだ?」

まぁ、いいやとっとと学校に行こう。

「にしてもなんか顔が痛いなー」

そうぼやきながら俺は、誰もいない学校への坂を上っていくのだった。

 

 

おわり

 

あとがき

やべー、駄作すぎて何にもコメントできねー。

以上(おい!

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